今年度は新型コロナウイルスの出現によって様々なことに変化が起きました。当初は未知のウイルスということで世界中パニックに陥りましたが、約1年を過ぎwithコロナとなり、「一体いつ収まるの?」、「あんなの風邪と同じだよ」、「ワクチン打てば大丈夫!」、「コロナにかかった人は不潔!」など、各自様々な考え方、対応をしています。このような考え方の分断は恐ろしく、「マスクしない奴らが悪い!」としてマスクをしていない人に殴りかかったり、「GoToが悪い!」と政府を罵ったり…。知らないから不安になり、不安になるからいがみ合い、イデオロギーの争いが繰り広げられています。これではウイルスの思いのツボです。特に歯科医院で何か起こった時の風評被害は想像しただけでも恐ろしいです。この新型コロナウイルスが無くなることはないので、私の講演している「withコロナin dentistry」を少しこのメルマガで紹介したいと思います。

現在の状況

2020年12月21日現在、日本における新型コロナウイルス感染者数は19.7万人、死亡者数は2,749人、致死率1.40%となります。以前は高かった致死率ですが、世界の数字(このサイトは全ての国の情報が見ることができます、面白いですよ)を見ていても致死率は減少気味です。これはウイルスを理解し、対応策がなされ、医療水準が上がった結果と言えます。インフルエンザとは違く、新型コロナウイルスの由来は不透明(武漢と言われていますが)なため、対策や傾向を考えることが難しいです。インフルエンザの流行は気象である程度予想できます(次号に)。

感染経路

新型コロナウイルスはご存知の通り、接触感染または飛沫感染します。結核のような絶対的空気感染はしないものの、限定的空気感染(換気の悪い空間での発声・発言による感染)には位置付けられます。なので、換気は重要です!そして、接触感染するのなら触ることを、飛沫感染するのなら飛沫が口・目・鼻に届かないようにするのが対策です。それでは、接触感染と飛沫感染の対応について論文から見てみましょう。

接触感染対策

ニュースとかで新型コロナウイルスは紙幣やドアノブとかで比較的長く生き、それが接触感染を引き起こすと言われています。殆どの論文は温度22℃湿度60%と環境が良い条件なので、実際ウイルスが生きるとしたら数時間と言われています。そこで京都大学からの論文で皮膚についたインフルエンザと新型コロナウイルスはどのくらい生きるかという研究では、インフルエンザが最長2時間生きるのに対し、新型コロナウイルスは最長8時間生きる可能性があります(図01)。なので握手は避けた方がいいですね。しかし、エタノールによる消毒でウイルスは一瞬で消失するので、手指のアルコール消毒の重要性を示唆しています。また紫外線がとてもよく効くので、歯科の紫外線燈は使えますね。というか、器具は滅菌しましょう。さておき、アルコールが効くのはわかりましたが、それ以外はどうでしょう?次亜塩素酸水も流行りましたね(後述)。しかし、何を使ってもいいんです!家庭内で普通に使われる家庭用洗剤は新型コロナウイルスに有効です。というか、このウイルスはすぐに剥がれてしまうので、ただスプレーするのだけではなく、拭くことが重要です。ブラッシングでバイオフィルムを取り除くことと似ていますね(新型コロナウイルスの方が簡単ですが)。最近、アルコール濃度が表示と違っていたから問題だ!というニュースがありましたが、確かに表示と成分が異なるのは罪です。それでも十分新型コロナウイルスに効きます。マスメディアは効くということは言及せず、表示と内容が異なることをバッシングする、んー、どっちもどっちかな。

図01

次亜塩素酸水の作り方

次亜塩素酸ナトリウムは歯科医師にとっては聴き慣れている単語ですね。強アルカリで、コンビニで一般的に買える商品はハイターです。このハイター、6%次亜塩素酸ナトリウムを含有しています。もちろん、根管治療に使ってはいけません!ハイターはキッチン系と洋服系とがあります。キッチンハイターは次亜塩素酸ナトリウムに加えて界面活性剤が入っているので、次亜塩素酸水を作る際は洋服用のハイターを用います。キャップ1杯約25mlを適量の水道水(ミネラルウォーターはダメ)に入れ、その10倍の炭酸水250mlと混ぜ合わせ、総量を10リットルにすると約300ppmの次亜塩素酸水が出来上がります。「NaOCl + H2CO3 = HOCl + NaHCO3」10リットルが多い場合は全ての量を定率減らして作ってください。これはテーブルやユニットの除ウイルスに、また、患者さんにうがいして口腔内の清掃もできます。この次亜塩素酸水を売っている歯科医院があるようですが、見つかったらまずいですよ(笑)しかし前述の通り、市販のものでも十分に効果があります。そのため次亜塩素酸水を用いるメリットは、あえて言うなら経費削減のために安価に作ることができることでしょうか。

飛沫感染

口から出たウイルスの飛沫が水分で蒸発して飛沫核となります。これは約2m程飛び床に落ちます。この飛沫を直接吸い込むと感染する確率が増します。感染を広げないためには飛沫を少なくする、マスクの装着が有効なことはご存知かと思います。といってもマスクには色々あります。最近はランニングの際にマスクをして息苦しくなるため、息がしやすいものが売られていたりします。果たして効果はあるのか???(いやいや、あるわけがないw)そこで、どのようなマスクが有効かを研究した論文をみてみましょう(図02)。一番効果があるのは図中14のN95マスクですが、それと近い結果が図中1のサージカルマスク(3層)でした(図03)。もし歯科医院でマスクを買うときは、何層かを確認してください。サージカルマスクと商品名に書かれていても、経費削減の1層とかが売られていますので。反対にマスクをしない時(図03中緑線)よりも悪い数字が出た図中11のネックゲイター、図中12のバンダナ、図中3の手縫いのマスクも悪い数字でした。おしゃれマスク、自家製マスクは基本的に見た目やかけ心地だけですので、普通に飛沫拡散します。マスクは感染防止に十分な効果を期待できませんが、飛沫拡散を最小限にして感染拡大を防ぐためにはマスクは必須です。いくらマラソンで体力をつけたくてもネックゲイターやバンダナはダメです。マスクしながら走るのが苦しいなら、周りに人がいないところでランニングしましょう。

~TAKAの独り言~

(ここは余談ですが、子供がマスクして運動するのは危険です。前に中国で何人かマスクをしながら走って死亡しましたね。相当苦しかったんだろうな。マスクで呼吸を阻害されることは、酸素を取り込みにくくなるのみならず、上顎洞が十分に発達していない子供は呼吸による放熱ができず脳に障害が残る可能性があります。え、マスク無いと感染してしまうって?大丈夫です。それは次回のメルマガを読めば理解できます。)

クリニックにおける飛沫感染防止

ある中国のレストランで集団感染が起きました。そのレストランは細長い形で窓がなく、2機のエアコンで空調を管理していました(図04, 05)。ある日、熱と咳が出ているのに大勢でランチを、そうしたらエアコンの空調下にいた他のテーブルの人に飛沫感染しました。感染者は図04のPatient zero、ちょうど集団の真ん中に位置します。そして飛沫感染も様々(後、隣、前、遠隔)、感染して発症した日も様々(最大12日後)でした。左隣の人が感染しなかったのは、幸いにも仲が悪く対面による会話が無かった、もしくは右隣に気に入った子がいたのか、真意は分かりませんが、、、さておき、この事態は飛沫感染の恐ろしさを世界に伝えました。ならばどのレストランも危険?しかし、最近は発熱や咳の出ている人が入店ができないよう体温検査をしアルコール消毒をしていますね。

~TAKAの独り言~

(この非接触型体温計、これは結構闇なんです。あるメーカーのは熱が出ていても平熱のような数字を出し、それは特に夜のお水のお店で使われているそうです。なので、そういう店に行かなければ安心ですが、闇ですね〜)

というか、体調が悪かったら外に出歩かないでください!なんですが、窓がなくエアコンや空気清浄機のみで空調を管理しているところはリスクがあります。いやいや、うちはHEPAフィルター入りの空気清浄機だから大丈夫!HEPAフィルターは0.3μmの粒子に対して99.97%の粒子補修率がある。では、エアロゾルの大きさは?飛沫感染は直径5μm以上なので理論上効きそうですが、そのような論文は見つけられませんでした。しかし、窓がなく換気の悪いところにおける感染はこの論文からも明白です。ですので、クリニックで窓をできれば2つ(1つだけだと空気が循環しにくい)開けて換気をすることが飛沫感染予防策となります。

~TAKAの独り言~

(HEPAフィルターだから大丈夫!は少し危険な考え方かと。窓がないところはリスクが高いのは明白です。)

移動時における感染予防

電車乗りますか?もしくはバス?1時間以上?乗り物に乗る時、もし身近に感染者がいたら?もしが多いですね(笑)。またも中国からの論文です。中国の列車における2,568のケースから座る場所と時間による感染リスクを研究した論文です。列車は日本の新幹線でよくあるような3席と2席のタイプ(図07)、そして縦・横位置と時間による感染リスクを示しました(図08)。結果は、感染者の前後の席に座った場合は3.5%、横の場合は0.21%、感染者が座っていた席に座った場合は1.5%の感染リスク上昇、また乗車時間が長い(3時間以上)と更にリスクは増えます。濃厚接触者の定義の中で、「対面」という単語が入ったのも頷けます。この論文は、特に家族で新幹線を使い長時間列車に座り、会話も飛び交う中に感染者がいた場合にこの論文を参考にできます。しかし、会話のほとんどなくシーンとした日本の満員電車と比較することは難しいです。きっと中国の電車の中はマンハッタンの地下鉄みたいに会話が飛びまくっているのでしょう(私の主観です)。会話でもそうですが、たまに歌っている子供いますよね。そして子供は無症状感染者の可能性が高いです(次号に)。そんな子供が歌ったら…。この論文は喋る(Speak)と歌う(Song)でどれだけエアロゾルが出るかを調べた研究です(図09, 10)。やはり咳(Cough)はかなり出ていますね。誕生日を歌うときは、歌うのではなく喋ってお祝いをしましょう!そして、閉鎖空間では8-14分間飛沫が浮遊しています。前に紹介した中国のレストランの論文と被りますが、これらをまとめるとカラオケボックスがどれだけ危険な環境かが分かります。ちなみにパチンコ店は感染リスクが低いです。喋ったり歌ってる人は少なく(歌わないでしょ、パチンコしながら一人で)、というか、うるさすぎて会話すらできません(笑)。ということで、移動中は喋るな!エレベーター内で喋るな!会話する代わりにLineとかでコミュニケーションを取りなるべく発声を控えるのが最良ですね。加えて、映画館にもこれらの論文が応用できます。2時間くらい席に座り映画を楽しむ(最近行ってないな〜)、まず映画館で喋っている人がいない、加えてしっかり換気をしていれば問題はありません。もし満員電車や映画館でクラスターが起きていたら、感染者の数は今頃すごいことになっていますが、実際はそうではありません。

それでは飛行機はどうでしょう?実は一番安全な移動方法です。IATA(国際航空運送協会)事務局兼CEOのAlexandre de Juniacによると、乗客12億人に対して44件の感染リスク、これは雷に打たれるのと同じ確率だと言っていました。私は以前、雷に打たれましたという方がいましたら、すみません。でも、元となるIATAのページは何故か消されていたのですが、、、しかし、飛行機の中は数分間で全ての空気が換気されるため(だから乾燥しているのですね)、飛行機による移動の感染リスクはかなり低く、電車の移動よりは断然リスクは少ないです。なので、長距離は新幹線よりも飛行機をお勧めします。

図07
図08
図09
図10

外出時における感染予防

外出は生活に不可欠です。だって、家族に料理を作らなければいけないのでスーパーに行ったり、健康のためにジムに通ったり、こんな世の中だから神様に会いに宗教集会へ、色々な理由があるかと思います。CDCより不特定多数の集会による感染リスクについて発表がありました(図11)。これを見ると、家にいる(家族に感染者がいないことが前提)、ショッピング、オッフィスでの仕事、美容室は問題ないようですが、レストランに行く会食やバー、コーヒーショップに行くことはリスクが高く、ジムや教会に行くことは中等度のリスクがあるようです。

図11

あとがき

結論として、GoToトラベルは推奨できますが、GoTo eatは推奨されません。何が感染リスクがあるかを知り、理解することで、自分や家族を守るのみならず、社会の早急な回復に寄与するものと思われます。

かなり書く内容が長いので、ここで第一部とさせていただきます。次回は感染したらどうする?重症化にならないためには?子供は大丈夫?ワクチンの副作用は?等を書く予定です。次号までにはもう少しワクチンの論文も出て、マスメディアに踊らされない情報を提供できるかと思います。