2:同じものを見ても、同じように理解できない

前回は人間の視野についてお話ししました。見えたものは実はそこまで見えていない!?という周辺視野と有効視野の話でした。どうでしたか?いやいや、俺はしっかり見えている!と思うかもしれませんが、実は過去の記憶や先入観等が多く影響しています。では、その本当に見えたものについて、誰しも同じ様に理解・解釈をするか?が今回のトピックです。けではありません。

いきなりですが、「どんな音楽が好きですか?」という質問にどう答えますか?私は飲んで踊るのが好きなので、エレクトロ系が好きですが、、、でも、演歌が好き、邦楽が好き、K-popが好き!と人によって好みは分かれます。しかしこの音楽、言い換えればただの波長です。同じ波長が耳に入り脳が理解・解釈をして音楽を楽しみます。同じ波長を耳で聞き、なぜ人によって解釈が異なるのか?もちろん生まれてから家庭で耳にしてきた等もあります。以前、親から子供に遺伝するお話をしたと思いますが、その中でも音楽センスの遺伝は90%以上で身体的遺伝に次いで高いです。しかし、センスが良くても音楽の好みは違う、これはゲッシュタルトの心理学で説明されています。

図1

まずは図と写真を少し遠目で見てください(図:01)。何に見えますか?うーーーさぎ?アヒル??どっちも!?これは2つの情報が混在した騙し絵です。この絵を見せる前に少しお膳立てで、うさぎの写真やアイコンを入れたスライドを見せることで、図を見た時はうさぎにしか見えなくなります(プライミング効果)。他にも有名な騙し絵がありますので、探してみてください(図:02)。このように、耳に入る情報(音)と目に入る情報(視覚)は同じでも、人によって解釈が異なります。

図2

このゲッシュタルトの心理学は、歯科における思い込みとも深い関連があります。例えば、「術式Aは必ず正しい」というプライミング効果がなされた先生には「術式Bは術式Aと比べてより良い」という言葉を受け入れることはできません。そのような場合、せっかく新たな学びを得る機会を失い、いわゆる“頑固親父”となってしまいます。謙虚な心こそが自分を高める、反対に、自分を高めたい人は謙虚なのかもしれません。

この同じものを見ても同じように理解できない代表的なものが“美しさ”ですね。美しさは主観的なもののため、客観的に捉えることは難しいです。美しい、可愛いを点数化し客観的にしたのがFacebookの始まりでしたね。さておき、歯科においても“審美歯科”という分野があります。歯冠の形、縦横比、歯冠乳頭と歯冠との比率、中切歯から犬歯までの見え方、上顎歯列と下顎口唇との調和、鼻の位置と顎の位置、正中と歯軸との関係、、、(図:03)この数値、比率は論文から出されたものですが、これら全ては平均値です。あえて言うのならば、歯科における“審美”とは“平均化”し“客観化”することと言えます。美しいというと希少、ベルカーブの偏差値70というイメージがあるかもしれませんが、歯科における美しいとは偏差値50を指します。歯科審美とは偏差値30の口腔内を偏差値50にすることを目標としています。そのため、これらの数字を理解した上で患者さんごとにアレンジするのが歯科審美となります。アレンジは個性として表現されますが、もしアレンジされないと、どこかの国の整形美人のように、顔が同じになってしまいます。

図3

~TAKAの独り言~

人間という学問は面白いですね。視界、視覚、解釈の仕方、先入観、自分が信じていれば良いという主観的な考えではなく、一歩下がって客観的に何が正しいか。考えさせられます。また、床矯正における発育や食育も同じく興味深いです。終わりがない学問といっても過言ではないと思いますが、終わりがない分面白いですね。

美についても面白いですが、デュジャンの泉とかを見ますと美しくないものが芸術、、、人間色々いますね。歯科審美ではデュジャンにならないよう、平均的美を追求しましょう!