床矯正治療は小児のみならず成人にも適応されます。治療により歯の位置や歯軸が改善されますが、それ以外に顔貌にも変化が見られます。今回紹介する論文は、床矯正装置を成人の矯正治療に用い、軟組織プロファイルの術前術後における変化にフォーカスを置いた論文となります。

タイトル:成人の可撤式歯科矯正器具治療後における顔貌変化(Facial changes following treatment with a removable orthodontic appliance in adults

目的:成人のクラスI、クラスII症例における可撤式矯正装置治療後の顔面軟組織プロファイル変化を決定する。

材料と方法:25人成人患者(39+1.5歳)の上顎口腔内に16ランドマーク(図01)を、顔面に9ランドマーク(図02)を設定し、治療前後で比較した(図03〜09)。治療期間は21.3+6.2ヶ月だった。

図09

結果:上顎口腔内並びに顔面ランドマークは優位に変化した(p<0.05)。上顎においては口蓋中央部が30%増加し、歯列のアライメントは改善された。顔面においては鼻上顎部が10%増加し、インターカンタル角度(図10, 11)が-4.6°から+4.2°へ(p<0.05)変化した。

結論:成人の可撤式矯正装置治療により、より広い笑顔(図12)を、より線対称な顔貌へと変化した。

図12

注意:図10〜12は論文外より抜粋

~TAKAの独り言~

この論文より、成人に対する床矯正治療で口蓋中央部が30%増加しました。歯牙の傾斜移動が主の床矯正治療ですが、どうも口蓋も広がるようです。このことより、舌が口蓋に収まりやすくなり、鼻腔が広がる(CTデータがないので想像です)ことに寄与しそうです。また、鼻上顎部とインターカンタル角度の増加により、よりシャープな目つきに変化するようです。床矯正治療で目つきが変わるとは興味深いですね。そしてより広い笑顔、これに関してはスマイルが苦手な日本人には当てはまらないかもですね。しかし、顔面が線対称になることはポジティブな情報です。

成人の患者さんに床矯正治療を説明する際にこの論文の情報は役に立ちそうですね!