今回はスウェーデンのマルメ大学矯正講座から出されている機能性前歯部交叉咬合への研究レポートを紹介します。

FIXED OR REMOVABLE APPLIANCE FOR EARLY ORTHODONTIC TREATMENT OF FUNCTIONAL ANTERIOR CROSSBITE
機能性前歯部交叉咬合症例に対する固定式ならびに可撤式矯正治療

反対咬合は論文より2.2-12%発症するものの、アジアにおいてはその数字は高い。その治療法は可撤式もしくは固定式の矯正装置が用いられる。この研究レポートは、混合歯列期における機能性前歯部交叉咬合症例に対し固定式(以後FA)および可撤式矯正装置(RA)の有効性をランダム化比較試験で評価並びに比較する。(図:01〜04)

62症例を2つのグループ、RAグループ;女児13名、男児18名;平均9.1+1.19歳)とFAグループ;女児12名、男児19名;平均10.4+1.65歳)とに分た。術前のオーバージェット、オーバーバイト等の平均値は両グループ間に有意差は見られなかった。

治療期間:FAは6.9+2.8ヶ月、RAは5.5+1.41ヶ月で、両グループに有意差は見られなかった。

治療結果:両グループにおいて満足いく結果が得られ、有意差は見られなかった。

安定性:29名のFAグループのうち27人は、29名のRAグループのうち27名は治療経過2年後も歯列と咬合は安定していた。2名の安定していなかったケースはオーバーバイトが優位に増え、特にRAグループで顕著であった。

治療費とチェアタイム:FAグループ;179分/323 Euro(トータル治療時間/治療費)、RAグループ;205分/371 Euro(トータル治療時間/治療費)であった。間接的費用はFAグループ;275 Euro、RAグループ;346 Euroで、有意差が見られた(p<0.01)。

矯正治療中の痛み:矯正治療開始1〜3日まで軽度〜中等度の痛みを訴えた。特にFAグループで痛みを訴えるケースが多かった。

図5:上下顎の前歯が接しているときにどれだけ痛みがあるか?(左:可撤式、右:固定式、治療開始から0,1,2,3,4,5,6,7日、4,8週後)

図05

図6:上下顎の前歯が接していないときにどれだけ痛みがあるか?(左:可撤式、右:固定式、治療開始から0,1,2,3,4,5,6,7日、4,8週後)

図06

図7:歯が押されている感覚はある?(左:可撤式、右:固定式、治療開始から0,1,2,3,4,5,6,7日、4,8週後)

図07

頭痛:両グループで2〜3ケースに治療後頭痛を訴えることがあったものの、両グループ間で有意差はなかった。

日々の活動:RAグループの7人が、RAグループの3人が、矯正治療開始後1日目に日々の活動に悪影響が出たとレポートされたが、有意差は見られなかった。しかし、治療3日後からRAグループの学校での日々の活動に悪影響が見られた。6日後(p=0.010)4週間後(p=0.004)。

発音と笑い:治療開始後2日目、RAグループ(22名)とFAグループ(1名)は発音の困難を訴え、発音の困難さはRAグループが優位であった、治療8週後(p=0.001)。FAグループ数名は笑うことが困難であることを訴えた。FAグループはRAグループよりも、優位に笑いにくいことがわかった(p=0.040)。

咀嚼、摂食、嚥下:治療開始から3日後まで、FAグループは柔らかいものと硬いものの咀嚼と摂食が困難であると訴え、これはRAグループと有意差が見られた(p=0.019~0.003)。嚥下に関しては少し影響があるものの、両グループに有意差は見られなかった。

結論:本研究より、混合歯列期の機能性前歯部交叉咬合治療に可撤式または固定式矯正装置を使用したが、成功率は同等で安定した結果が達成できた。どちらの治療法でも患者の受け入れは高かった。しかし、この研究結果より、可撤式矯正装置の治療費が高額であるため、固定式の治療法が推奨される。

~TAKAの独り言~

長かったですか?w

しかし、ヨーロッパにおける矯正治療が伺えて面白い内容だったと思います。治療費は保険が効いているせいか、結構安いですね。結論より、可撤式が高いから第一選択としないとありましたが、日本ではこの限りではありませんね。この論文で面白かったのは痛みのグラフですね。どうでしょう、自分の患者さんたちと比べてみて、似た結果だったでしょうか?頭痛とか笑顔がしにくくなるとか、こういう生活に直結する情報を患者さんの親御さんと共有することは、床矯正治療において重要と考えられます。