イタリアから、新しいAMCOPを用いた治療の論文を紹介します。

FIXED OR REMOVABFichera G, Martina S, Palazzo G, Musumeci R, Leonardi R, Isola G, Lo Giudice A. New Materials for Orthodontic Interceptive Treatment in Primary to Late Mixed Dentition. A Retrospective Study Using Elastodontic Devices. Materials (Basel). 2021 Mar 30;14(7):1695. doi: 10.3390/ma14071695. PMID: 33808257; PMCID: PMC8037598.

スタディーサンプル

イタリアのカターニャ大学矯正学講座に来院した、限られたまたは困窮した経済資源の子供を対象とした。年齢は6〜11歳、上顎中切歯と第一大臼歯が完全萌出を対象とした。骨格性 and/or クラスII、オーバージェット>4mm、オーバーバイト>2/3mm、もしくは前歯部叢生とオーバージェット>4mmを対象とした。20人のトリートメントグループ(男子8名、女子12名)の平均年齢は8.4 + 0.6歳、20人のコントロールグループ(男子9名、女子11名)の平均年齢は8.1 + 0.8歳であった。

図1

治療方針とエラストマーデバイス

トリートメントグループはAMCOP second class (SC) (イタリア)(図1)を使用した。このAMCOP second class (SC)はエラストマーデバイスで、口腔前庭と舌側にフレンジを有し、前歯部にはフリースペースが設けられ接触はしない。これらダブルフレンジは上下の歯列を正常咬合に保つ咬合ガイド(前方傾斜)を持ち、下顎を前方位置に誘導することでクラスI関係を保つ。材質は弾性に富み、サーモアクティブなため、異なる歯列弓に合わせる事ができる。このデバイスは凹凸がなく、歯に力がかからず、矯正力がかからなに設計となっている。また、このデバイスは下顎滑走平面に合わせて設計されており、装着時には下顎を突出した姿勢を引き起こします。加えて、舌を口蓋スポット、正しい位置へ誘導し、舌と口輪筋の歯への影響を排除している。デバイスは夜間の装着と昼間に1時間の装着を指示した。昼間の装着時は口唇を閉鎖するよう指示した。コントロールグループは一年間治療は行わず、データ取得後にデバイスを用いた治療を行った。

結果

図2:治療開始前のセファロ像
図3:治療後1年のセファロ像

図4:オーバージェットとオーバーバイトの変異。トリートメントグループは、オーバージェットが5.1mmから2.5mmに、オーバーバイトが4.5mmから1.9mmとなり、優位に改善が見られた。コントロールグループでは、オーバージェット、オーバーバイト共に数値が増え、特にオーバーバイトでは優位に悪化した。両グループに有意差が見られた。

図4

図5:叢生数の変異。トリートメントグループとコントロールグループ、治療前と後とでは有意差は見られなかった。しかし、トリートメントグループの叢生数は減少し、コントロールグループのそれは増大する傾向が見られた。

図5

図6:咬合関係の変異。トリートメントグループとコントロールグループ、治療前と後とでは有意差は見られなかった。しかし、トリートメントグループはクラスIが多くなったものの、コントロールグループのそれでは減少した。

図6

図7:SNA^, SNB^, ANB^, IIA^の変異。トリートメントグループでSNA^に優位な差は見られなかったものの、 SNB^, ANB^, IIA^において優位に改善が見られる。

図7

図8:治療前の口腔内写真(トリートメントグループ)
図9:治療1年後の口腔内写真(トリートメントグループ)

結論

エラストマーデバイスを用いた全ての患者は、オーバージェット、オーバーバイト、叢生、臼歯関係の改善が見られた。結果として、エラストマーデバイスを用いた治療法は、特定状況下で不正咬合を治療するにあたり、シンプル、自然的、低侵襲である。

~TAKAの独り言~

叢生のある子供を放置すれば状況は少し悪くなるものの、エラストマーデバイスを用いることで大いに改善されることを示した論文でした。ですので、「様子を見ましょう」は最悪の一手ですね。しかし、一年間治療開始を遅らせても、年齢が若ければいい結果となります。また、この論文は特に経済的に困窮している家庭のお子様を治療するといった、とても暖かいスタディーですね。