歯根膜

歯根膜厚みは歯根の部位、年齢、状態で様々である。平均は0.2 mm(0.15-0.38 mm)で、根中央部がもっとも薄い。年齢別では11-16歳の平均は0.21 mm、32-58歳は0.18 mm、51-67歳は0.15 mmと、高齢になる程歯根膜厚みは薄くなる。床矯正治療の対象となる若い年齢の歯根膜厚さは高齢のものと比べ厚く、歯冠側:0.23 mm、根中央:0.17 mm、根尖部:0.24 mmとなる。(図01)矯正治療開始初期の痛みは、この歯根膜が圧迫されることで炎症反応が起こることに起因される。しかし、歯根膜(歯自体)が一定以上の刺激や損傷を受けると、歯根吸収がおこる。歯根膜および/または歯髄が、外傷性脱臼損傷、歯列矯正による歯の移動、歯髄または歯周構造の慢性感染症の後遺症として歯根吸収が発生する可能性がある。

図01

歯根吸収は内部吸収、外部吸収と大別されているものの、病理学的にさらに細別される。内部吸収は置換性吸収(Root canal replacement resorption)と炎症性吸収(Internal inflammatory resorption)に(図02, 03)、外部吸収は表層吸収(External surface resorption)、炎症性吸収(External inflammatory root resorption)、アンキローシス(Ankylosis)、置換性吸収(Replacement resorption)とに(図04-06)細別できる。

図06

骨は破骨細胞と骨芽細胞により日々リモデリングされるものの、歯根はされない。しかし、歯根膜が何らかの損傷を受けた際、本来骨を吸収する破骨細胞が歯根(セメント質)と接触し吸収が開始される。一般的に歯根膜損傷後2〜12週間で始まるとされて(歯牙の再植と移植の際に重要)、特に歯根膜が20%以上の損傷を受けた際に歯根吸収(特にアンキローシス)は劇的に起こりやすくなる。内部吸収の場合は貪食細胞の栄養源となる神経除去で吸収は止まるものの(除去不能なまで歯質が菲薄な場合は抜歯対象となる)、外部吸収の場合(特にアンキローシス)は抜歯対象となる。

強固なアンカーを持つ矯正治療の場合、断続的な矯正圧で歯根膜が押しつぶされ歯根吸収が起こる可能性がある。しかし、床矯正治療の場合では、装置を1日1回は取り外すので歯根吸収する可能性が低いと思われる。

~TAKAの独り言~

少し論文口調でしたね、、、
ワイヤー矯正で歯根吸収が起こるケースはよく臨床でみられます。しかし、床矯正治療で歯根吸収はあまりみられないよう感じますが、どうでしょう?
歯根吸収は避けられないのでしょうか?いや、避けるべきだと思います。いくらワイヤー矯正で綺麗に歯並びを整えても、歯根吸収を起こして歯牙の動揺は本末転倒な気がします。