先日、会員の先生たちとお目にかかる機会をいただき、様々なトピックの会話を楽しみました。その際、もちろん床矯正治療のお話も出ましたが、私がインプラント出身ということもあり、色々な質問を受けました。ガイデッドサージェリーはいいのか?骨造成の際にどの材料がいいか?上顎臼歯部のインプラント治療について等です。そこで、今回は今までとは少し内容を変えて、インプラント手術におけるガイデッドサージェリーについて書きたいと思います。

ガイデッドサージェリーは、CTスキャンを撮影し、治療計画を立てて、それに合わせたガイドを製作し、ガイドに沿って治療する。出血も腫れも少なく、初心者でも簡単!と、なんとなくフローに流れた治療で安易さを感じます。CTスキャンデータを元に、モニター上では全てが理想的で、なんかカッコいい!しかし、ガイデッドサージェリーは設定された位置にインプラントを埋入することは不可能です。インプラント埋入は大工さんの木にネジを埋め込むのとは勝手が違うからですから。設定されたところに埋入できない、ずれてしまう、なぜなのか?

ガイデッドサージェリーのメタアナリーシスによると、14の研究より、角度は4.1°、インプラント先端位置は1.57mmn、インプラントプラットフォーム位置は1.25mmのずれが生じると報告がありました。しかし、骨固定ピンを用いたトータルガイドにおけるフラップレスサージェリーはより精度が良いとのことでした。加えて、注水が十分に行き届かないと、加熱により骨壊死が起ります。特に皮質骨側の温度上昇が顕著となります。

一般的に発表されている論文、症例発表やケースシリーズではなく、このようなメタアナリーシスのデータは、その分野のエキスパートが行っての数値ですので、一般的には上記の数字よりも幅は増えると予想されます。5°の角度に加えて2ミリもずれたら、当初の治療計画とだいぶ変わってしまうことが予想できます。

このずれはなぜ起こるのか?理想通りにオステオトミーをしたのになぜ?この理由は、骨は均一ではないからです。木にドリルで穴を開ける際、木は均一な材質ですので予定した場所に穴を開けネジ等を埋め込むことは可能です。しかし、骨には硬く厚い皮質骨と薄くて脆い海面骨があり、特にドリルやインプラントが皮質骨に接触すると、その硬さでドリル、インプラントの角度が変わります。特に最近はテーパー形状のインプラントが多く用いられていますが、この形状のインプラントは角度と埋入位置がずれやすいのが特徴です。元々、テーパータイプは埋入時にずらすことが可能なインプラントとして臨床で用いられていた過去があります。

そして、もしずれた時にどう対応するか?ずれて頬側骨を突き破った、インプラント先端が隣在歯に接触してしまった、このような問題が起きたときに対応策がないと、特に経験がない先生はどうしたらいいかわからなくなってしまいます(図01-04)。そのため、ガイドを100%信用するのではなく、「ずれるかもしれない」という考えを持ってオペに挑む必要があります。そして、いざという時のためにフラップを開けたりGBRの用意等も必要となります。

図1
図2
図3
図4

~TAKAの独り言~

少しネガティブな内容となりましたが、これがリアルです。私は全顎のフルアーチオペの時にとてもいい方法と思いますが、インプラント1本だけや天然歯の隣に埋入する際には必要性を感じません。ガイデッドサージェリーは、ある程度インプラントオペに慣れている人が時間短縮、低侵襲のために行うのに最適と考えられます。でも、もし何か分からない事ありましたら、いつでもお知らせください。