炎症性反応、特に骨の外傷によるそれは、炎症反応を引き起こし、骨減少症を引き起こします。その炎症反応が起きるカスケードにおいて、regional accelerator phenomenon(RAP)(部分的に治癒が促進する)と言われる治癒プロセスが発生します。RAP効果は、受傷後数日以内に現れる傾向があり、1~2か月でピークに達し、2~4か月持続します。そのため、矯正治療の早期歯牙移動にはフラップを開け歯槽骨を一部切断する方法、Corticotomyが用いられていました(写真1〜4)。

しかし侵襲度が多いことに加え、RAP効果を生む炎症反応はそこまで侵襲度がある必要はないことが分かり、近年では小さなフラップを開け、低侵襲のPiezocisionの方法が用いられてきました。

(写真5)Piezocisionは幅4-5mm深さ3mmとCorticotomyより低侵襲ではありますが、どのくらいの効果があるか、論文を見ていきましょう。
矯正治療における小臼歯抜歯後24週し、そのスペースをPiezocision有りと無しとでどちらが有用かをランダマイズされたスプリットマウス試験において調べた論文です。(写真6〜8)結果より、写真8における(T0-T1, T1-T2, T2-T3は4週間づつ)左のPiezocision有りと右のコントロールとに有意差は見られませんでした。この結果は、Piezocisionによる炎症から出るケミカルメディエーターの量なのか、その持続期間なのか、やはり侵襲度が多いとより効果があるのか、さまざまな考察ができます。しかし、Aksakalliらの論文(これだけですが)はPiezocisionの効果はあると言っています。

                   

~TAKAの独り言~

私がNYUにいたときに、矯正科からCorticotomyの依頼を受けて、それなりのケースをこなしましたが、確かに歯の移動は早いと感じました。しかし、歯肉退縮が起こりやすい(一応、骨造成やCTGも同時に行います)のを記憶しています。いろいろな方法で炎症を起こし、RAP効果を期待していますが、、、。最初、床矯正治療でCorticotomyはどうかと思いましたが、やはり子供へのオペは気が引けますね。